2016年7月17日日曜日

時間の進み方の遅れ -k計算法-

特殊相対論の教科書で、相対運動する2人の慣性観測者の時間の遅れの式を導くとき、2枚の鏡を往復する光の時間でよく説明される。Motion Mountainではk因子を使ったk計算法で説明されている。

相対速度\(v\)で運動する二人の慣性観測者がいる。二人の観測者は時刻0で出会い、それから第1の観測者の時計で時間\(T\)後に第1の観測者が第2の観測者に向かってフラッシュ光を送り、第2の観測者は光を受け取ると第1の観測者にすぐ送り返すとする。第2の観測者が光を反射したのは第2の観測者の時計で二人の観測者が出会ってから\(kT\)後であったとする。 

さてここからがみそである。両者にとって光の速度が不変であるとし、第1の観測者と第2の観測者が相対的であるとする。反射した光は同じ距離を第1の観測者に向かってすすむが、その時、第2の観測者から見ると、反射光は両観測者出会ってから時間\(kT\)後の光を送っているので、第1の観測者が反射光を受け取るのは第1の観測者の時計で\( k(kT)=k^2T \)後になる。

これからは第1の観測者の時計で考える。 第2の観測者が光を反射した時刻は、第1の観測者が光を出射した時刻ともどってきた光を受けた時刻の真ん中の時刻なので、\( t_1=(k^2+1)T/2 \)である。また、往復距離は\( c(k^2-1)T \)であるので光が反射した位置は\( x_1=c(k^2-1)T/2 \)となる。第1の観測者に対する第2の観測者の速度は\(v\)であるから、上の考察より、 \[ v=x_1/t_1=c(k^2-1)/ (k^2+1) \]となる。これを\(k\)について解くと、 \[ k=\sqrt{\frac{1+v/c}{1-v/c}} \] となる。反射した時の時刻は第1の観測者, 第2の観測者で、それぞれ\(t_1=(1+k^2)T/2 \)、\( t_2=kT \)より, \[ \frac{t2}{t1}=\frac{2k}{1+k^2}=\sqrt{1-(v/c)^2} \] となり時間の遅れのが示される。