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2016年7月29日金曜日

k-計算法を用いた速度の合成式の導出

地球に対し速度vteで走っている列車の中で、乗客が進行方向に列車に対
して速度vstで石を投げるとする。ガリレイ力学では、地球に対する石の速度はvse=vst+vteとなる。ところが、特殊相対論ではvse=vst+vte1+vstvte/c2となる。

さて、この式をk-計算法で求めてみよう。

第1の観測者が時間T後に光パルスを第2の観測者に向けて光を送る。そして、第2の観測者の第1の第2の観測者は光を受け取るとすぐに第3の観測者に向けて光をおくるとする。

この時、第1の観測者に対する第2の観測者の相対速度はvteで、第2の観測者に対する第3の観測者の相対速度はvstより、第3の観測者が光パルスを受け取る時間はkstkteT=c+vstcvstc+vtecvteTとなる。

一方、第1の観測者に対する第3の相対速度はvseなので第3の観測者が光パルスを受け取る時間はkseT=c+vsecvseT
となる。

第3の観測者の光パルスを受け取る時間は一致しなければならない:kstkteT=kseT。従ってc+vsecvse=c+vstcvstc+vtecvteを計算すれば、相対論的な速度の合成式が得られる。

この計算は中学生でもできる。簡単だと思いませんか。

2016年7月27日水曜日

早撃ちラッキールークって?

Motion Mountainでは「ラッキールークの芸当は可能か?」が導入になっているパラグラフがある。

ラッキールークって一体何なのか?プレステのゲームとかにもあるようだが、ラッキールークはヨーロッパ発のアニメで、自分の影を銃で撃って倒してしまうほど早撃ちなのだそうだ。これが可能なためには銃弾は光より速く動く必要がある。「ラッキールークの芸当は可能か?」の答えはすぐにわかる。質量のあるものは光速には到達できない。エネルギーをどんどんつぎ込むと無限に光速に近づけられるが、光速にはできない。

光速で動けるのは質量がゼロの光、それと可能性があるのは重力子ぐらいかな。

2016年7月24日日曜日

ドップラー効果とk-計算法

前にk計算法というのを紹介しました。静止系で時間間隔Tで光信号を一定速度で移動する第二の系に送った時,  第二の系ではkTの間隔で光信号を受けるとした。この間隔を光の波長と考えると、これはドップラー効果をあらわしているに異ならない。つまり、k因子は光の波長に対するドップラー効果そのものである。 λobserver=kλsource=1+v/c1v/cλsource ここで0<v<cの時は、光源が遠ざかる場合で赤方偏移、0>v>cの時は光源が近づく場合で、青方偏移に対応している.

2016年7月18日月曜日

光のドップラー効果の利用

近づいてくる光源の色は青い方に偏移し(波長が短くなる),  遠ざかる光源の色は赤い方に変位する(波長が長くなる). 光のドップラー効果である.

これを応用したものはたくさんある. 自動ドアのセンサ, 警察がスピード違反の取り締まりに使うレーダー.

太陽の自転についてもわかる. 太陽の一方の縁は青方偏移し, もう一方は赤方偏移しており, その周期は27日から33日で、緯度に依存する。また, 太陽の表面は5分程度の周期で振動している. また, 銀河系の中の太陽系も銀河系の中心のまわりを回転してることがわかる.

2016年7月17日日曜日

時間の進み方の遅れ -k計算法-

特殊相対論の教科書で、相対運動する2人の慣性観測者の時間の遅れの式を導くとき、2枚の鏡を往復する光の時間でよく説明される。Motion Mountainではk因子を使ったk計算法で説明されている。

相対速度vで運動する二人の慣性観測者がいる。二人の観測者は時刻0で出会い、それから第1の観測者の時計で時間T後に第1の観測者が第2の観測者に向かってフラッシュ光を送り、第2の観測者は光を受け取ると第1の観測者にすぐ送り返すとする。第2の観測者が光を反射したのは第2の観測者の時計で二人の観測者が出会ってからkT後であったとする。 

さてここからがみそである。両者にとって光の速度が不変であるとし、第1の観測者と第2の観測者が相対的であるとする。反射した光は同じ距離を第1の観測者に向かってすすむが、その時、第2の観測者から見ると、反射光は両観測者出会ってから時間kT後の光を送っているので、第1の観測者が反射光を受け取るのは第1の観測者の時計でk(kT)=k2T後になる。

これからは第1の観測者の時計で考える。 第2の観測者が光を反射した時刻は、第1の観測者が光を出射した時刻ともどってきた光を受けた時刻の真ん中の時刻なので、t1=(k2+1)T/2である。また、往復距離はc(k21)Tであるので光が反射した位置はx1=c(k21)T/2となる。第1の観測者に対する第2の観測者の速度はvであるから、上の考察より、 v=x1/t1=c(k21)/(k2+1)となる。これをkについて解くと、 k=1+v/c1v/c となる。反射した時の時刻は第1の観測者, 第2の観測者で、それぞれt1(1+k2)T/2t2=kTより, t2t1=2k1+k2=1(v/c)2 となり時間の遅れのが示される。

2016年7月14日木曜日

速度の上限値は光速 -でも、私は光と競争して勝てるかも?-

いよいよ相対論に入り始めた。光速は不変であるが、さらに、この速度はあらゆる(エネルギーを運ぶ)ものの最大速度である。これ成り立つためには、光速cを超える速度は観測されていない、観測できない、また、自然現象にきちんと当てはまることの3点からの確認が必要である。一番最後が、結構曲者で、光速不変性はうそだと直観的に思ってしまう人がいてもおかしくはない。なぜなら、光速不変性をみとめてしまうと、観測者によって時間の進み方が変わってしまうという結論にになってしまうからだ。

アインシュタインは重力を含まない運動の記述を特殊相対論と呼び、重力を含む運動の記述を一般相対論と呼んだ。[この説明は気に入りました。普通は時空が平坦とか曲がっているとかという話がされるのですが、初心者にはさっぱりなんのことやらわかりません。でもこれなら、わかった(ような気になる)]

これから、特殊相対論とはなにかという説明が始まります。直観的になかなかよくわからない不思議なことがいっぱい出てきます。

ちなみに光速がcになるのは真空中においてである。物質中の光の速度はcより小さい。例えば、なんと、太陽の中心では1秒間に1mmしか光は進まない(私はきっと光より速く走れるはずだ。)。また、物質中で光速よりも速い速度で荷電粒子(例えば電子)が走ると何が起きるか?(もちろん最大速度cより小さいので、こんなことが起こりえます)光がでます。これがチェレンコフ光です。

2016年7月12日火曜日

アインシュタインの講義ノートを紹介

Motion Mountainにはアインシュタイの節もありますが、このテキストの紹介は今回は一休み。

2014年、スイスに行きました。ベルンではアインシュタインの家に行ってきました。有名な噴水群のある通りに面した間口の狭い建物の中にあります。細い階段をのぼってゆくと、お年寄りの夫人がいて受付に座っていて、荷物を預かってもらい部屋に入ると、アインシュタインと奥さんの写真がかけられていました。

その後、ベルン歴史博物館併設のアインシュタイン博物館に行きました。入り口から入ったところの階段の周りはたくさんの鏡で構成され、像が何回も反射され、なんとも不思議な空間がつくられていました。そこに大きなアインシュタインの写真がでんと構えています。


この博物館には1910年、アインシュタインがベルン大学で教鞭をとっていたころの講義ノートが展示されていました。



上は解析力学で、実は、奥さんのMilevaの筆によるものです。さすが、数学者の奥さんでこういうふうにアインシュタインのアシストをしていたんですね。

下はアインシュタインの直筆で、剛体の力学でおなじみのオイラー方程式が書かれています。

この時の旅の写真は「サニーさんの旅メモ」の2014年イタリア・スイスに置いていますのでよかったらみてください。











2016年7月10日日曜日

光をボールにしてテニスはできるか?

「鏡をラケットにして、光をボールにしてテニスができるか」の節がある。

結果はともかくとして、この節では光速が速度の上限で、真空中では光速は一定であることを説明する。現在、光速は20桁の精度で周波数に依存しないことがわかっており、1m/sのオーダーの精度で測定できる。そのため、光速はきわめてよい速度標準になる。二重星の軌道、超新星のニュートリノバーストや家電製品の話題にも話がおよぶ。

2016年7月8日金曜日

光速の有限性は常識だった?

あのデカルトは光速は無限大を主張していたのだそうだ。えっ、と思ってしまう。

驚いたのは古代ギリシアのエンペドクロスは光速は有限であると考えていたらしい。

これらは、ある意味、哲学かもしれない。

昔から人は光速を測定しよう試みていた。とんでもない速度をどうやってたら測定できるのか?ガリレオも光速の測定に失敗したらしい。Motion Mountainには、これまでに行われた様々な光速測定の方法が紹介されている。

物理は自然現象と必ず関係している。つまり、測定というのは自然現象をとらえるという意味で物理の基本である。この本はそれが貫かれているような気がする。

2016年7月4日月曜日

Motion Mountainとの出会い

15年以上も前になりますが、相対論についてもっと知りたくて、Web上を探していたところ"Motion Mountain"と言うテキストブックを見つけました。すべて、英語だったので、そのままにしていたら、何年か後には、5巻に増え、内容も古典物理から、相対論、電磁気学、量子論と増え、いままで30万回もダウンロードされています。しかも、ダウンロードフリーです。内容的にすごくおもしろいので、少しづつ、紹介してゆきたいとおもっています。

このテキストブックはヨーロッパ発なのですが、日本にも関係しています。著者のChristoph Schillerさんは1990年ころ日本に滞在されていて、この膨大なテキストブックの執筆を始めた場所が横浜だとWebには書かれています。

「動かざること山の如し」と言った戦国武将がいましたが、"Motion Mountain"といっても山が動くわけではありません。テーマは”運動”です。登山をしながら、より高いところから”運動”を見るといままで見えていなかったものが見えるようになりどんどん視野が広がってゆきます。最後、"Motion Mountain"の山頂から見える運動の風景がどんなものであるかは最後まで読んでみないとわかりません。

最初は、一番最初に、興味を持った相対論からはじめます。